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老椿図 / 老劇岩の如くなりても、可憐な花を咲かせ給う 神代桜 / 月下梅劇図 / 月下桜櫢図

この作品は北海道の置戸町の「置戸ぽっぽ絵画館」に所蔵されている。別名「寄贈美術館」。ある画家が「無名の画家は全国に多数おり、その人たちの優れた作品がたくさんあるにも関わらず、日の目を見ないまま散逸して残念」と新聞に投稿したのをきっかけにできた美術館である。置戸町の廃線になった線路の駅舎を改装して開かれた。展示されているのが寄贈作品のみという美術館は全国でも珍しいと思う。有名画家の作品ではないが、すばらしい絵はたくさんある。質の高い作家と、志を持った自治体や美術関係者が協力して、みんなで知恵を出し合えば、すばらしい美術館ができるという好例ではないだろうか。 / この作品は随分前に描いたものだが、何か物足りないなと思っていて月を描き入れてみた。そしたら「ああそうか。この絵に足りなかったのは「光」だったんだ。」と、直感的にわかった。以前通っていた学校に梅の並木道があって、梅が満開の頃、その間を歩いて通っていた。歩いていると、枝と花が3D映像のように立体的に動くのが面白くて、思わず写真を撮るのだが、写真に撮ってしまうと、ペタッと平面的になってしまう。特に、夜暗くなって、帰り際にその間を通っていると、闇夜に花だけが、ポッカリ浮かび出して、それが、自分が歩くと、3D映像のように動いてゆくのが幻想的だった。桜は、どちらかというと全体が一つのボリュームになってざわめく、包まれるという感じだが、3D的な空間の面白さと、どこからともなく匂ってくる梅の香の肌合いで感じる感覚というのは梅特有な気がする。 / カリフォルニアのナパにある日本料理店に飾る依頼を受けて制作した。アメリカの人々が桜の絵をどのように受け入れてくれるのか、日本人が桜を愛する気持ちが伝われば良いと思う。

P29/P30

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